6月16日
ボーリング調査の結果は?〜園瀬川流域環境保全の会 総会〜
徳島市上八万町のしらさぎ台団地に隣接する最終処分場と不法投棄された農地などについて、市民のカンパ(約200万円)によるボーリング調査が今年2月に実施され、その結果の報告会が行われた。設立以来、精力的に活動し続ける園瀬川流域環境保全の会の第2回総会に、おなじみの地質学の専門家関口鉄夫さん とゴミ弁連の村田正人弁護士が来徳され、講演された。
1年前に設立された園瀬川の会は本当によく動いてきた。世話人は会の方向性などとことん話し合いながら、脅しにも負けることなく、子や孫が住める環境を残すためだけにやってきたのだ。1年間で集めたカンパは300万円以上にのぼる。

これまで行ったさまざまな調査
- 処分場の下の沢の赤い水の調査:沢の水から環境ホルモンであるビスフェノールAが検出された。日本の観測河川では最高値の1.3μg/L。また底土からは、未汚染土壌と比較して高濃度のヒ素(7倍)、銅(2倍)、鉛(3倍)、水銀(自然界で未検出)、亜鉛(4倍)などの重金属類が検出された。
- トレンチ調査:長さ5m、幅1m、深さ2〜3mの溝を5本掘った。安定型処分場に埋めては行けないゴミがたくさん見つかった。
- 水見張り隊結成:園瀬川の水質、周辺井戸の水質を定期的にチェック:園瀬川の水質は良好ではあるが、処分場直下で電気伝導度が10以上上昇しており、強い影響を受けていることがわかった。
- ボーリング調査:市民のカンパ約200万円により実施。地権者の協力を得て、深さ29メートル、30本のコアサンプルを採取した。深さ6メートルの箇所で焼却灰、16〜17メートルのところでは揮発性のあるシルト質の汚泥が見つかり、関係者の証言や当時の写真と一致した。
- 関係者からの聞き取り調査:当時産廃を運んだ運転手さんたちから貴重な証言が・・・。
これらのことから見えてきたことを、関口先生がいつものごとくわかりやすく、熱くユーモア(ブラック)たっぷりに語って下さった。おそらく全国で初めて、市民によるカンパで行われたボーリング調査であるが、実施されたのはまだたったの1本。それによって、この処分場がかなり危険性をはらんでいる可能性があることがわかった。今後、行政による詳細な調査がされ、公害を防ぐために何がなされるべきか、しっかり検討されるといいのだけれど・・・。



村田正人弁護士のお話
昨今は単純な廃棄物の不法投棄でなく、「リサイクル」にカムフラージュして実は不要物を不法投棄するという巧妙な方法が多くなってきているという。本当のリサイクルとまやかしのリサイクルとの違いは「お金の流れ」にある。
例えば、リサイクルされるべき材料を引き受ける時に、お金がどちらからどちらに流れているのか。本当のリサイクルなら引き取る業者が引き取られ側にお金を払うはず。表向きはそうなっていても、裏で反対の方向にお金がより多く流れているのがほとんどだ。エコシステムジャパンの堆肥はその典型例。
住民が不法な現実に気付いて訴えても、なかなか行政が動いてくれないのは全国どこでも同じだという。それなら、法の手を借りてでも解決することは大人の責任である。「告発」というものは勇気が要るもの。実際、園瀬川流域環境保全の会のみなさんには、さまざまな脅しがあったという。
村田弁護士は、「告発すると恨まれる、そのために私たち弁護士が代理人になります。私たちも一人では恨まれるので、弁護団を組んで闘います。どうぞ私たち弁護士を使って下さい。」と言って下さった。さすがゴミ弁連の幹事である。ゴミ弁連とは「たたかう住民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会」の略称。

|