8月1日
廃棄物ネットワーク知事に要望書を提出
私と徳島県廃棄物問題ネットワークが関わっている鳴門市坂東地区、徳島市入田町、同しらさぎ台など(昨年それに井川町多美農園が加わった。)それぞれの地域の人たちが、情報公開請求をしたり、県の担当課に調査を要望したり、自分たちでできる環境調査を地道に続けたりしているのだが、徳島県の廃棄物をめぐる状況は、この2,3年ほとんど改善の兆しはない。(県議である私の責任でもあるのだが・・・)
7月31日の廃棄物ネットの定期総会に、長野県廃棄物調査委員会で徳島にもおなじみの関口鉄夫先生とゴミ弁連の会長である梶山正三先生をお招きした。せっかく2人のエキスパートが徳島に揃われるということで、「飯泉知事に直接面会し提言や意見交換をしてもらおう」ということになり「秘書課にお願いしてみてよ」と私に調整のお役目がまわってきた。
多忙な知事が8月1日月曜日の午前中という「こちら指定」の限定された時間を空けてくれる可能性はとっても低かったが、7月19日、ダメモトで秘書課長にお願いにいった。「その日はあいにく知事も副知事も予定いっぱいです」とあっさり断られ、「関係部局の部長にでも相手をしてもらうように言っておきます。」という言葉に期待して、返事を待つことになった。が、日程が近づいても関係課から何の連絡もなく、こちらから何度も電話をかけてお願いした挙げ句、関係6課全ての課長以上の責任者がその日予定があり相手できないということが28日になってやっと判明した。(!!!)
県議 大いに悩む・・・
私は「引き下がるのが早すぎる」とか「面会できない理由をもっと突き詰めろ」とか「理由を文書にしてもらうべきだ」という声に渋々、嫌々応え、秘書課長に半ば罵声を浴びせられ、食欲もなくなってくる有様だった。
私には全面から行政を疑ってかかり、県のいいわけが本当かどうか確かめに行くなどとても(まだ?)できません。根性がないのかもしれないし、苦労知らずなのかもしれない。今回はこちらから8月1日の午前、という指定をしてのことだったので「その日はギリギリ調整しようとしたがどうしても都合がつかない」と、いつ電話してもほとんど会議中で電話に出られない課長に言われたら疑わしくとも信じたふりをして「無理なことを言いました。次の機会には是非お願いします。」と言ってしまいます。貸しを作っておいて、次は日程を県にあわせてこちらが時間を作る、というところから始めたい、と思ってしまいます。そのことが廃棄物ネットの方々の期待を裏切ってしまうことなのか、辛いです。
しかしながら、文書をもらうのは大事なことだと思います。当たり前のこととも言えるのかもしれません。 人ごとのようにこんな私が少しずつ強くなれたらいいのにな、と思っています。
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秘書課長との電話の内容は「知事は、8月1日午前中は、定例記者会見と経済推進本部の会議が入っており、対応できません。文書については、知事との日程調整は全て口頭で回答しており、それを信頼して頂いている。なぜわざわざ文書まで出さねばならないのか、意図が理解できない。新聞にも来週の予定ということで明日掲載される。文書を出さない理由は、全て日程調整を文書で出していたら余りにも事務作業が繁雑になる。この場合だけ、特別に文書を出すことは出来ない。どうぞ理解してほしい。」住民の立場も出来るだけ代弁しましたが、「なぜ信頼してもらえないのか、わからない。失礼な話ではないか。一般常識でないか。」と、いろいろ言われました。私は完全に議員として云々という前に、人間性として人の立場を理解できない非常識な人間、というふうに思われてしまい苦しいです。住民の立場に立てばそれでよいと思われるかもしれませんが、県職員も人間ですしこれ以上の交渉は出来そうにありません。担当課からも何らかの反応があると思いますが・・・。秘書課長からは「担当の部局もアスベストの対応で大変なときにいきなり8月1日と言われて、苦労して調整しているようで、大変困っていますよ」と言われ、精神的限界です。
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でも現場は大変
30日、関口氏は長野から寝ずに車を運転し、優秀な弟子望月くん(京都大大学院修士課程2年で地球環境マネジメント専攻)を大阪で拾って朝の4時前に鳴門に到着。私はネットワークの方2名とともに6時に合流し板東谷川の調査に同行した。板東谷は最終処分場や林地開発としての産廃混じりの残土処理場がたくさんあり、産廃銀座と化している。
初めて現地を見たときストック公害(将来、谷に埋めた廃棄物が流れ出し公害を起こす)について学んだが、今回すでに崩壊の前兆が至る所に見られ、一刻も早い対策が必要。それに坂東谷川やその支流には昨年の大雨でたくさんの土砂が流れ込んで河床が上がってしまい、洪水被害の可能性が高まっている。
31日には、朝6時羽田発の飛行機で梶山弁護士も合流し(家を出られたのは4時頃か?)県内の他の地域もまわり、総会でお二人に講演もしていただいて、やはりみんな、知事に直接要望書を手渡したい思いが募ったようだった。
夜になって県のHPで知事の明日の予定を見ると、10時に定例記者会見、11時に県庁内で経済再生推進会議となっている。「記者会見前後に10分でいいから知事に直接要望書を手渡せないか、最後にもう一度秘書課に掛け合おう!」ということになり、急遽集合は9時に。私は「また秘書課と交渉か・・・」と気が進まなかったが「でもみんな仕事を休んで県庁に行くんだよ。そこにいる県職員にはできるだけのことをしてほしいよ。」と親友のMちゃんに言われ「そうだ、それが私の仕事だ」と県民の立場に立つことを自分に言い聞かせる。
そして知事と直接話ができた住民たち!
翌日ネットワークの住民の方々、梶山、関口氏と約20名ほどで秘書課玄関に。職員が慌てて通せんぼし「行事と行事の間にも、知事には準備や勉強があるから、無理なのだ」と必死で説明するが、それぞれが「5分や10分、時間とれるやろ」などと懇願を続け「よし、記者会見室の前で待とう!」ということになり、暗くて狭くて暑い廊下で待つ。
何かあっては、ということかガードマンも3名ほど駆けつけてきた。秘書課職員も環境整備課の課長補佐もやってきて、「こんなところで大勢でいられてはたまらないので、代表者だけにしてくれないか」と言ってくる。が「知事も環境首都と銘打っている私たちの愛する故郷の現状を何とかして!」「担当課に何回言っても変わらないのだから直接知事に聞いてほしい」と住民の熱い思いがビンビン伝わってくる。
みんな思いは熱いけれど、逆上したりはしない。私にも「(住民を)止めて下さい。」「(住民を)説得して下さい。」と言われたが、まっとうなことを言っている住民を止められないし、なんと言っても住民の代表なのだからどうしようもない。豊岡さんが「ここでこうしていてもお互いにいい方向には行かないから、こちらも代表者だけに人数を絞るので、この廊下でいいので知事に要望書を読んで手渡すだけ、ということでどうにかならないか」と職員と交渉しついに許可された。
知事に渡した要望書
知事は「みなさんのお気持ちはわかりますが、県は法律に基づいて仕事をしています。法律以上の取り締まりをすれば逆に業者から訴えられます。」しかし、法律違反は堂々と行われ、取り締まりができていない箇所が多いこと!!と伝えると「そういうことならわかりました。」といつものにこやかなあの顔で要望書を受け取ってくれた。
今回のことで、廃棄物ネットの事務局長の深田さんをはじめ親しい人に泣き言を言い、自分が楽なように嫌われないようにと逃げごしであったことを反省する。そして、そんな私や豊岡さんにばかり苦労させてはなるまいと頑張ってくれた各地の住民運動のみなさん、目の前の廃棄物の不法投棄から目をつぶって生きればどんなにか楽であろうその方たちは、故郷のため子どもたちのため行動されている。今さらながら廃棄物行政への憤りを感じずにはいられない。行政はことの重大性を気づいていないのか、知っていても手がつけられないのか、まさか業者との癒着などは考えたくない。
今回「知事に直接要望書を手渡す」という単純で簡単な(実際はとても難しかった)ことができたことは、とても小さな一歩だけれど、そのためにみんなが悩んで乗り越えたことはとても大きなことだったような気がする。翌日小さな記事になった。事務局の久次米さん(徳島市議)は、「知事に直接」のために、北海道視察へ出発の予定を急遽キャンセルした。視察担当の市職員の連絡先がわからなかったため、阿波市の宿泊先を朝5時に出て空港に直接謝りに行ったという。「急に止めるんやからそれくらいの礼儀は尽くさんとな。」という彼の体育会系的な(関口説)生き方をとても尊敬している。
徳島県知事
飯泉嘉門 殿
謹啓
単刀直入に申し上げます。
まずは貴職が環境首都、環境立県と銘打ちいろいろ政策を打ち出され、担当部局を再編成されて取り組みをされておられます事に敬意を表させていただきます。
私たちはその意を歓迎し期待をしておりました。しかし現在の施策として行われている県の環境政策には疑問を感じております。また担当部局の具体的な事例に対する対応には非常に不満があります。真に地域住民の権利が保証され、その苦情とか意見に対して真摯に対応されていると感じることができません。
私たち徳島県廃棄物問題ネットワークは、平成15年に設立し、廃棄物問題を重点に環境問題に取り組んでおります。会員の中には10数年地域の処分場や処理施設の問題で、県に対応を求めつづけております。そして県行政に対する不信は頂点になっております。
これは不幸なことです。
当ネットワークは活動の一環として、各地の廃棄物問題にかかわっておられる屈指の専門家であるゴミ弁連(闘う住民とともにゴミ問題の解決をはかる弁護士連絡会)会長の梶山正三弁護士と、長野県ゴミ問題研究会会長の関口鉄夫氏に幾度も現場を見ていただき、ゆゆしき徳島県の現状、県の担当部局の今までの対応あるいは不作為にいまさらながら怒りを大にしております。県は環境行政において、住民参加や協働をいうなら、きれいごとをいうのでなく、現場を見て住民と対話し辛口の意見にも耳を傾け問題に対応すべきです。
両氏の来県の機会にぜひ知事に徳島県の現況を聞いていただきたく申し入れをいたしました。しかし知事にはすでに予定が入っておるということ、さらにどの担当部局も忙しく対応できないという回答でした。この県の姿勢には私たちは到底納得することはできません。それでここに文書で要望書を出し貴職の誠意ある回答を求めます。
- われわれと対話の場を1ヶ月以内に設定すること。
- 別途、ネットワーク会員の板東、入田、井川、しらさぎ台の住民から、各地の懸案の問題について要望書をだしますので、それに対して真摯に対応をすること。
- 各地の要望書に対しては当該各団体に対して3週間以内に回答するとともに当ネットワークに対しても3週間以内に回答すること。
以上要望いたします。
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