2月6日
ごみ問題学習会 報告と感想
県議会会派「県民ネットワーク・夢」(本田、豊岡、宮本、吉田の無所属無党派の4人)主催で、県民との学習会を不定期で行っている。今回は、深刻な状況になってきているごみ問題がテーマ。
第1部は長野大学講師、長野県廃棄物処理施設技術検討委員会委員の関口鉄夫先生の講演。関口先生は地質学の専門家。阿波町の産業廃棄物焼却施設の裁判で、ごみ問題に関わる住民の立場に立った技術者や弁護士などの全国の緩やかなネットワークの中から次々とすばらしい方々が応援に来徳される中で、何度も県内各地の現場調査に同行していただき、何度も講演をお願いし、何度もお酒を飲んで(!)議論するうちに、ごく自然に徳島になじみ、私たちの運動になくてはならない人になってしまった、といういきさつだ。
3年前に初めて鳴門市板東谷川流域の最終処分場や残土処理場を調査していただいた際に「こんなにひどい(状態の)徳島には二度と来ないことにしよう。」と思ったそうだ。が、深田さん(廃棄物問題ネットワーク事務局)の手料理がおいしいのか、はたまた徳島の地酒がおいしいのか、全国各地の現場に出向き2年間で14万km走行した愛車ライフを運転し、大雪の長野からはるばる徳島へ。前日の現地調査では晴天に恵まれ「今朝長野を出た時と気温が25度も違うヤ!」と、それでもまだ寒い山中での調査をしていただいた。
この日の講演では廃棄物問題の本質と調査した県内各地(鳴門市、徳島市、阿波町、美馬町)の問題点、住民にできる調査の仕方などを話していただいた。もちろん、議員に対する期待を込めた(と思う・・・)批判も多くいただいた。
廃棄物問題の本質
大量消費をあおる産業界を規制できない国の体質(政・官・業の癒着とも言える?)から、法による発生抑制対策がほとんど行われていない。行政がよく使う言葉に「(1)ゴミは生活していたら必ず出るもの。(2)ごみ問題は住民1人1人のモラルの問題。(3)リサイクルでごみを減量しよう。」があるが、全て間違っている。理由は「(1)製造の段階でゴミの出ない製品に変えていくこと努力をしているのか?(2)家庭ごみの割合はゴミ全体の5%前後にすぎない。(3)リサイクルは供給過多で破綻している。」全国で、缶、ビンがわざわざ分別されて(リサイクルされずに)そのまま埋め立てられている現場もあり、家庭での努力も無駄になっている場面はショックだった。
田中優さん著「環境破壊のメカニズム」によると、日本は毎年7億tの資源を輸入、4億tを燃料として消費。ということは毎年3億tが蓄積され順次ごみになり国内に貯まる計算になる。仮に全てのものがリサイクルされ資源になったとしてもリサイクルされた3億tの資源とさらに次の年輸入された燃料を除いた資源3億tと合わせて6億tが翌年ごみになり、翌年は9億t、それが繰り返される。循環が成り立たないはずだ。
できるだけ国産のものを使うこともゴミ抑制につながるということか。
徳島県の問題
第2部では、鳴門市板東地区自治振興会の田淵さん、徳島市入田の環境を考える会の大谷さん、徳島県廃棄物ネットワーク事務局長の深田さんの3人をパネラー、関口先生をアドバイザーに、阿波町の焼却場をめぐる裁判(住民勝訴)や、入田、板東地区での現状報告があった。問題点を整理すると
(1)最終処分場の立地条件が疑問。県立公園内、急傾斜地、森林、水源地、河川敷内などに、処分場が許可されている。施設を許可する行政に専門性を持った職員がいない。
(2)残土処理と称した実質廃棄物の不法投棄。廃棄物処理法は抜け道の多い不完全な法律だとしても、その最低限の法律の適用さえできていないことも。
(3)これらについて、きちんとした調査がほとんどなされていない。危機意識がきわめて薄いのか。(知っていてやらないのか?)
徳島は今、県外からのゴミ捨て場になろうとしていて、山や谷を埋め尽くしたゴミのいろいろな有害成分が雨水に抽出され流れ出ている。ゴミ問題はつまり水の問題、水は命そのものだ。
愛するものを守りたい
ゴミがすぐ目の前からとりあえず消えると、私たちは問題を忘れてしまいがちだ。ところが、自分の住んでいる地域に焼却施設や最終処分場ができるとなると、住民の間に反対運動が起きる。それを「住民のエゴ」だという人もいるが、果たしてそうだろうか。人間が自分の一番大切なものを守ろうとするのは、ごくごく当たり前、自然なことだ。
それが愛する家族だったり、住み慣れた地域だったり、母なる川であったり、ふるさと徳島であったり、日本全体だったり、かけがえのない地球だったりする。
「ごみは必ず出る。」とあきらめてはいけないし、「リサイクル」に騙されてはならない。
今後の課題
住民にできることは、周りの人たちに実態を知らせ、できる調査を続けること。みんなで知恵を出して考えること。行政を住民のために動かす(考えてみれば当たり前のこと)ためにどうすればいいのか、学習して考え、調査をして汗を流し、周りに伝え、広げていくこと。運動にはお金も必要。税金払ってるのになぜ住民が苦労せねばならないのか悔しい気もするけど、そんな考えは「お任せ民主主義」的なのかもしれない。マスコミを批判するのではなく、マスコミに理解してもらう努力も必要だ。
そして議員は、住民と共に動き、それ以上に勉強し、行政を動かす努力をすること。苦しいこともあるけれど、すばらしい人たちとの巡り会いが私たちの生きがい。
この日の学習会には予想以上に沢山の方々に参加していただき、会場いっぱい、満員御礼。寒い中、本当にありがとうございました。
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