12月17日
戦争をやめさせ、環境破壊を食いとめる新しい社会のつくりかた〜田中優さん講演〜
敬愛する香川県議:渡辺さとこさん、はつらつ高松市議:植田まきさんらの主催で、田中優さんの講演が高松市であった。優さんは江戸川区の職員で地域のゴミ問題から市民活動を開始、リサイクルのダメなわけや原発、金融問題など、インターネットを駆使して正確なデータを集め、なるほど!と目から鱗の著書も多数出版され、全国講演にひっぱりだこのクールですごい人!あの坂本龍一さんやミスチルの桜井さんも優さんの話を聞いて行動を始めた。
6年前、吉野川住民投票の後に地方主権のテーマで、海外の場合と徳島の場合を例にシンポジウムが行われ、私はなんと優さんと一緒にパネラーとして出演したのだった(当時の自分の無知を思うと恥ずかしい・・・)。
その時の優さんの話にすっかり感動した私は彼の全ての本を読みあさり、未来バンクhttp://homepage3.nifty.com/miraibank/に即、出資したのだった。
何のための戦争か
優さんの話はイラクで入院中の可愛らしい女の子、ラナちゃんの写真から始まった。彼女の将来の夢は「小学校の先生」になること。しかし、夢は叶わぬまま、彼女は短い一生を終える。湾岸戦争での劣化ウランによる白血病だった。イラクは15年以上も経済制裁を受けており、薬はナシ。このような罪のない子どもたちを含め4年間で65万5千人が殺された。ラナちゃんの死は「戦死」にカウントされないという。今も毎日数百人が殺されていて、状況は激しさを増している。そのイラク戦争とは何なのか。
アメリカの言い分(1)
9.11のテロへの報復→ブッシュ米大統領は9月17日、イラクのフセイン元大統領と米同時多発テロとの関係について「サダム・フセインが9.11に関与したという証拠は何もない」と記者団に表明した。
アメリカの言い分(2)
フセインは大量破壊兵器を持っている→パウエル米国務長官は2004年9月13日の上院政府活動委員会の公聴会で、大量破壊兵器について「いかなる備蓄も見つかっておらず、この先も発見されることはないだろう」と証言
アメリカの言い分(3)
英国筋の情報から、フセインは核武装のためのウランを大量に入手した→この契約書類はでっち上げだったことを米政府は公式に認めた。
それではいったい、何のための戦争だったのか?
戦争の理由は5つ
今ある世界の紛争は全て次の5つの理由で説明できるという。
1)石油がある。
2)天然ガスがある。
3)石油か天然ガスのパイプラインが通っている。
4)水が豊か
5)鉱物資源がある
つまり、戦争とは資源の奪い合い。
例えばチェチェンにはカスピ海油田のパイプラインがあり、ロシアは絶対に独立を許さないだろうこと、中国のウィグル自治区にもタリム油田があり、独立は許されないだろうということ。
実際、世界の石油会社は9.11以来、最高利益を更新中。世界の軍事費も伸びており、(その年間の約半分、54兆円がアメリカの軍事費)世界は再び戦時に入りつつある。アメリカ人の5%が軍需産業に関わっており、「アメリカの公共事業は人を殺すこと、と言える。」と優さんは辛口だ。その天文学的な利益を得るアメリカの軍需産業の中で特にブッシュ就任以来、大きく収益を伸ばしたのがブッシュの父(パパブッシュ)が顧問を務めるカーライルグループ。2003年にパパブッシュが辞任したとたんに収益を減らしたようだ。
カーライルを初めこれらの大企業は全て同族会社(一族が役員を占める)であり、経営事情は全て非公開。
アメリカの軍事費を支える日本人の貯蓄
年間54兆円ものアメリカの軍事費を支えているアメリカ国債の34%(世界で一番)を買っているのが日本。私たちの銀行預金や郵便貯金が原資だ。「円高対策」というのがアメリカ国債を買う理由になっているようだが、円安になっても売っていないので「これはつまりブッシュへのプレゼントだ」と優さん。
かっての太平洋戦争の際も、戦費を賄ったのは8分の一が税金、あとの8分の7は郵貯だったという。一昨年の郵政民営化選挙の際、アメリカのメジャー雑誌「ファイナンシャルタイムズ」には「日本の300億ドルが(郵政民営化で)もうすぐ市場に出てくる。(アメリカは)当分金には困らない。」と書かれたという。私たちがいくら「平和が一番」「戦争反対」と叫んでも、行動しなければ何も変わらない。
その行動とは
1)エネルギーを自給する
2)戦争の資金にならないところに貯蓄する。お金の流れを変える。
1)により、原発ともサヨナラできる!
というわけで、NPOバンク
優さんは94年に市民による「未来バンク」を始めた。3%の固定金利で、環境、福祉、平和に関わる事業のみをやる個人か市民に投資する。20名の資本金400万円から始めたバンクが、(当時誰もが潰れると予想したという。)今では資本金1億3千万円でこれまでの融資累計は6億円、貸し倒れはいっさいなし。私も優さんの未来バンクに小額ではあるが出資し、夫のさくら診療所も太陽光発電システムの導入時(当時は四国の事業所で最大規模)に融資を受けた。
優さんの話を聞いた有志が全国で同じようなバンクをすでに10以上立ち上げており、ミスチルの桜井さんもその一人。(apBANKこちらは固定金利1%)
市民バンクは四国ではまだない。仲間たちとチャレンジしてみたい、そのために徳島に優さんをよびたい!
他にも、戦争に反対しない環境運動は何の役にも立たないこと、日本の電力料金の仕組みは企業が省エネしにくいようになっていて(使うほどに単価が安くなる)、料金の仕組みを変えるだけでエネルギー自給への解決策はあること(原発を止めてもOK)、電源開発の持っている全国の発電所を東京電力方式の効率のよいものに変えるだけで日本の電力消費の8分の1が節約できる(これは全家庭の電力消費量がゼロになるのと同じ効果)。
「政府は省エネ、省エネ、と国民に義務を押しつけ、やるべきことをさぼってカムフラージュしている」ということが、よくわかった。このことは家庭ごみがゴミ全体の8分の一なのに国民の意識改革でゴミ問題が全て解決するかのような宣伝をするのにも似ている。僅か200以下の企業が全CO2排出量の半分以上を出していてデータを公開していないところも多い。
個人でできることも
だからといって、個人の努力ももちろん大切。
1)冷蔵庫の消費電力は、省エネ開発により10年前の約5分の一に。10年以上前の冷蔵庫を持っている人は今すぐ買い換えた方が良い。10万円の冷蔵庫の場合、1年4ヶ月分の省エネ分で元が取れる。廃棄物になるのが気になる人は、家電リサイクル法により、うまく処理もされているとのことでご安心を。
2)家庭の待機電力は相当で、そのうちAV機器のものが大半。スイッチつきコンセント(900円くらい)を使用すると解消できる。
などを、優さんは紹介してくれた。うちにも94年の冷凍庫がある。スイッチつきコンセントは導入済み。夏も冬もエアコンは使わず、できるだけ薪のストーブを使うようにしているが、ものぐさの私は、ボタンを押すだけのファンヒーターについ手が伸びてしまいがち。
「環境のために」というだけでなく、「戦争をやめさせるために」と思えば、もっと頑張れる。優さんは「たくさんの方がこれを使って各地で講演会や学習会をしてくれたら。」と、この日のパワーポイントの資料を全て、希望者全員に無料で提供してくれた。講演録もつけて、送料200円のみで渡辺さとこさんが先日送って下さった。その夜、夫と夜なべしてまた聞いてみた。
やる気が湧いてくる。
優さんの著書もぜひ読んで下さい!貸し出しもOKです。
*「どうして郵貯がいけないの」「環境破壊のメカニズム」「日本の電気料金はなぜ高い」「非戦」「Eco・エコ省エネゲーム」「戦争をしなくてすむ社会をつくる30の方法」「戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会のつくり方 」「戦争って、環境問題と関係な いと思ってた」
など。
|