3月17日
伝統の手作り卒業式〜知恵島小学校〜
うららかな春の日和となったこの日、知恵島小学校の卒業式に出席。
知恵島小学校は1学年20人前後の小さな学校だ。
私もふたりの子どもたちも大人数の学校だったので、私にとって小さな学校の卒業式は昨年の知恵島小が初めてだった。今年の卒業生は16人、オープニングでは会場が真っ暗になり、小さな1年生に一人一人エスコートされてスポットライトを浴びて卒業生が入場。エスコートする1年生にも卒業生にも緊張と喜びがみなぎっている。受付、照明、退場のシャボン玉まで、全て5年生を中心とした在校生と先生方の力を寄せ合った手作りの卒業式だ。
私は旧山川町在住なので、知恵島小の子どもたちを直接は誰も知らない。県展などに絵や作文が入選した子どもたちの作品は吉野川市の子どもたちのモノを特に念入りに見ているので、名前を覚えた子どもが少しいるくらいだ。けれど、みんなが心を一つにして卒業生を祝う気持ち、これまで6年生にお世話になった感謝の気持ち、中学生になっても頑張ってほしいと願う気持ち、全てがびっしり詰まった本当に温かい卒業式にすっかり感動してしまい、今年もとっても楽しみにしていたのだった。
一人一人に校長先生が卒業証書を手渡すのは他の学校も同じだと思うが、石井校長は一人一人にそれぞれ別々の思い出と希望の言葉をアドリブで贈るという人情派だ。卒業証書を受け取った子どもたちが舞台のそでで大きな声で将来の夢や希望を叫ぶ。別れの歌は卒業生と在校生が向き合うカタチで順番に言葉を掛け合い、スクリーンには一人一人の卒業生の1年生の頃のかわいい写真と、成長した今の写真が並べて映し出される。そしてさまざまな思い出の写真も。
来賓あいさつは教育委員会とPTA会長さんのふたりなので、私は気楽にこのステキな空間に座らせていただいている。舞台で祝辞を読まない来賓も(私や市議さん、婦人会長さんや学校評議員さんなど)紹介していただくときに「何か一言自由に発言して下さい」との石井校長の粋な計らいだ。昨年は6年生担任の生ギター弾き語りによる「栄光への架け橋」(ゆず)があった。涙でぐしゃぐしゃになりながらの先生の熱唱に、会場のほとんど全員が涙、涙。
大きな学校ではなかなか出来にくいふれあいの教育を実践されていることが、この1日から想像できる。知恵島小で学んだ子どもたちは幸せだ。
気になったこと
卒業生が「将来の夢」を語る場面、昨年はほとんどの子どもたちが「お父さんのような大工さんになりたい」とか「学校の先生になりたい」とかを語ってくれたのだが、今年は「まだ将来の夢は決まっていないけど、勉強と部活を両立し、充実した中学生活を送りたい」と言った子どもが大半だった。体育館に響き渡る大きな声で自分の思いを口にしたことは(相当練習したのだと思う)すばらしいし、内容も確かに悪くない、現実的だ。でも、「今の社会は子どもたちに夢を与えられない社会なのではないか」との心配が、ここに現実としてあるのか?ちょっとしょんぼりしてしまった。
子どもたちへ
私からの贈る言葉は「命を大切に」ということ。自分の命、家族の命、友達の命、そして命を支えるのは水、空気、土。大切にしてほしい。今、お金を出せば大抵のものが買えるけれど、きれいな空気やきれいな水、豊かな土はお金では買えないのだ。それに戦争があったり、食べ物がなくて苦しんでいる国もたくさんある。命をしっかり守り、世界の平和をつくる人になってほしい。
大人に出来ること
思春期に入ると子どもたちは情緒的に不安定な時期もあるだろう。大人は、結局見守っていることしかできないことも多い。「教育」をめぐって、ゆとり教育の見直し、教育基本法改悪など、重要なことも動き始めている。大きな流れや小さな流れに流されがちな私たち大人だけど、この世で一番強く揺るぎないものは子どもたちへの愛情。子どもたちの存在が大人の生きる励みだ。しかしこの社会には子どもたちに受け継ぎたくない負の遺産、将来への不安が何とたくさんあることだろう。小さなことでもいい、あきらめずに努力する後ろ姿を子どもたちに見せ続けなければならない。
|