8月30〜31日
県内8箇所の廃棄物処理場、処分場を訪ねる
6月議会で鳴門市坂東谷川周辺の残土処理場の許可を与えないでほしいという請願が不採択になった(反対討論参照)が、長野県廃棄物対策委員会の中心メンバーで地質学の専門家、関口鉄夫先生が、またまた徳島県廃棄物問題ネットワークの招きで来徳されたので、問題の坂東谷川周辺の残土処分場や廃棄物最終処分場、吉野川中流域周辺の脇町2箇所、阿波町2箇所の中間処理場や処分場を視察した。
2日間、蒸し暑く不快指数はこの夏最高だったが、初日には鳴門市の職員3名を含む約15名、2日目は借り上げたマイクロバスの補助椅子もいっぱいになるほどの参加者があった。
徳島県に廃棄物行政は存在しないのか?
視察の感想として、真面目に受け止めると自分が壊れてしまうような惨憺たる徳島県の現状だった。
かって多くの魚が棲み、それは美しかったという鳴門市の大麻比古神社周辺の谷川は、雨に現れた廃棄物より染み出した有機物などによると思われる富栄養化で黒ずんだ苔類、藻類が繁殖し、荒れた山からの瓦礫が河床を上げ土石流の危険も高いと思われる。
7月のネットワークの世話人会で電気伝導度が異常に高い値を記録した谷は、何者かによって木のバリケードが張られ立ち入れず、水の採取ができないように鉄枠のはめられた側溝の下を太いビニールパイプが通り、合流する流れに危険水が誘導されていた。
「残土処分場」という名目の場所もアスファルトのかけらやプラスチック製品、陶器のかけらなどが混在し、明らかに法律違反である。
雨水が染み込むと地形によって汚染水が下流に流れ出し鳴門市民の飲料水に影響を与えることは必至だ。
焼却炉も3箇所見たが、強化された規制に合わないことが一目瞭然なものが2箇所…。
廃プラスチック類が相当混じっているゴミをドラム缶に煙突をつけただけの装置で焼き、周辺の木々は立ち枯れを起こしている。
「徳島県には廃棄物行政は存在しないのか?」と関口先生。
「もう徳島に来るのをやめようかな」
と冗談を飛ばさないと彼も辛くなってくるのだろう。
視察後、やるべきことのポイントなどを話し合った。
実態を知らずに生活をしている人はある意味で幸いかもしれない。
私たちの生活の影に大量のゴミが存在し、それらがかけがえのない自然を奪い、生命を脅かしていることを知れば知るほど、暗いトンネルの底に落ちていくような感じ…。
県会議員に就任当初、二人の県会議員が公選法違反で逮捕され、辞職勧告決議案が数により否決された時には大きな無力感を感じた。
議会の構成は少し変わったけど、多数派にならないと何も変わらないのではないか?と。
しかし今日、この暑い中、ツアーに参加した県民の思い、運動を細々と続けられている方々の思いを行政に伝える手段として、議員という職の有利性はきっと大きい!と感じ、この職を得て本当に良かったと思った。
四年間は短い。やるべきことをやらなければならない。
大量生産を続けなければ維持できない利潤を追求することを最大の目的とした社会から、国が大きく方向転換しなければ、
「リサイクル」「循環型社会」といくら聞こえのよい言葉で国民のモラルをあおっても廃棄物問題の解決の道は遠い。
しかし、国に方向転換させるためには、世論の形成が必要だ。
そのために全国各地で住民たちが廃棄物問題に本気で取り組み頑張っている。
請願第10号「鳴門市大麻町坂東字中谷地区に計画されている残土処分場の建設等について」の委員会採決「不採択」に反対の立場で討論いたします。
わたしたちの国は、「循環型社会」の構築を目指すと言いながらも、実際には経済優先の政策で大量生産、大量消費、大量廃棄を容認するという矛盾の中にあります。
そしてその大量放棄の限界として、これ以上山や海をゴミで埋め尽くせば、そのストック公害により生命の安全性を確保できないという心配から、他の生物を含めて私たち人間の当然の生きる権利の主張として、全国各地で住民運動が起こっています。
この鳴門市大麻町の坂東谷川流域の産廃・残土処分場は、有名な豊島の数倍の規模です。残土処分場は全国的にも不法投棄の温床となっています。実際ここに、川島地区など7町村の一般廃棄物の焼却灰が不法投棄されていたことは記憶に新しいところです。水道水源条例、残土規制条例等のない自治体の山奥に、全国から廃棄物が不法に集まってくる傾向もあるようです。どんな有害物質が埋まっているのか、いつから地下水汚染が始まるのか、それとも、もうすでに始まっているのか、早急な調査、継続した管理が必要です。
住民の命を守るのが行政や政治の最大の使命であるならば、当残土処分場の建設の許可につきましては、慎重に対処するのが当然ではないのでしょうか。坂東谷川で、奇形の魚が多数発見されているようです。私たちは過去にも水俣病やイタイイタイ病で学んだのではないでしょうか。県が許可を出すならば、少なくとも「県と業者は流域住民に対して未来永劫までの安全責任を負う」というような条件をつけるべきではないでしょうか。
また一定規模以下の処分場においても同じように安全性に十分配慮すべきことは当然と考えます。
日本政府がもし本気でゴミを減らしたいとするならば、リサイクルなどでごまかすのでなく、発生抑制にこそ力を注ぐべきです。そして政治家と行政と住民の方々がいっしょになって、ゴミを出さなくても経済が循環するシステムの構築に智恵を使わなくてはなりません。そこで暮らす住民の方々の運動は、国が「本気」でゴミを減らしたいとする動機付けになります。徳島県議会といたしましては、安全に暮らしたいという住民の声に耳を傾けていただきますことを議員各位に切にお願い申し上げます。
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