1月30日
名古屋市でワークショップ〜憲法9条ってなに?
名古屋で恩師:池住義憲さんのワークショップが開かれることを知り、
5年ぶりにお会いして元気をいただきたいと参加した。
平和と国際協力に奔走されて30年以上の池住さん。
環境破壊の愛知万博中止を訴え、愛知県を国際平和を世界に発信する基地にしよう!と支持者の熱いラブコールによって知事選に出馬された時は驚いた。それが今では、愛知県はイラクに派遣される自衛隊員の最大供給地(小牧基地)になってしまったと声を落とされていた。
徳島には3度招いて、国内外の公共事業の問題点をテーマの連続講座、NGO大交流会、地球市民教育セミナー中四国ブロック大会の基調講演者として、お話をしてもらったことがある。
参加者の心に何かが芽生えるホンモノの教育者
私が参加した初めてのワークショップ(もう6年くらい前)では『障害』がテーマだった。車いすに乗った人のイラストを見せ、「この人には障害がありますか?」と切り出す。
う〜ん?と考えていると、比較的小柄な女子高校生と背の高い男性に黒板の前に出てもらい片手を黒板に沿ってまっすぐにあげてもらう。小さな女子高生は背の高い男性の届く場所まで当然届かない。
そこで椅子に載ってもらうとその女の子も高いところに手が届く。
そしてもう一度車いすの人の写真を見せて尋ねる?
「この人には障害がありますか?」
参加者は前と違ったことを心の中で思う。その瞬間に次のイラスト、
同じ車いすの人の前に今度は階段があるものを見せる。
「さあ、障害は何ですか?」と池住さん。
この瞬間、目から鱗、障害はその人自身のことでなく社会的な何かであることに気づかされる。
こんな調子で池住マジックにかかった人は全国数知れない。
知事選では2ヶ月の運動で、30万票以上を集め次点、でも現職に大きく及ばなかった。
だって、彼のチラシを見るとトヨタ自動車を擁する愛知県で『車社会からの脱却』なんて書いてある。まっ正直すぎる人だ。
この世の仕組みや大きな社会的見えない力に、
小さな個人がもがいてもどうにもならないのではないかという結論を、
人生30余年を生きてきて何となく得ていた私に 「人生捨てたものでない、あきらめるのは早すぎる」
と気づかせてくれたのは吉野川の住民投票と池住さんだった。
『100年前にはなくなることは絶対ないと思われていたアメリカの奴隷制度がなくなったように、「変化は可能だ!」
「Change is possible!」』ということを
ワークショップに参加した人は自分の内側から湧き上がる何かによって気づいていく、そんな魔法の力を持った心温かい信念の人だ。
この日のテーマはイラク問題
まず、「300」と「2000」という数字を見せられ、
「何だと思いますか?」「???」全くわからない。
第1ヒントは「300万」と「2000万」。これでもピンと来ない。
40名ほどの会場いっぱいの参加者も考えている。
そこで、「わかった!太平洋戦争で日本人に殺されたアジアの犠牲者2000万で日本人の犠牲者300万!」と答える人あり。
う〜ん、そうなんだ。
次に「日本で一番安全な場所はどこだと思いますか?」
この質問にはたくさん答える人あり。
「皇居」「首相官邸の地下の核シェルター」「北海道」「沖縄」など。
「では小泉さんの論理では一番安全なところはどこですか?」「はて?」
「小泉さんの言葉『備えあれば憂いなし』でいくと一番安全なところは沖縄だということになる。
しかしどうですか? 9.11の同時多発テロ以後、沖縄の修学旅行や観光旅行はことごとくキャンセルされた。
本当は備えあるところが一番危ないことをみんな知っているのです」
「一番安全なのは武装しないところだと私は思います。『非武装地域宣言』これを各地に広げたい。
みなさんの町で自衛隊基地等のないところの議会にこの宣言をしてもらいましょう。」
その地方議会のまっただ中にいる私にとって、違う世界の違う人種のような人々の集まりだったと思う。
2時間という短い時間に40人の参加者全員が1分間自己紹介をした。
徳島から、という私はみんなの大拍手で温かく迎えられた。
9.11以後に敢えて沖縄に行ってみたという人もいた。
「怖かったでしょう?」と聞くと「怖くて迷ったけど沖縄の人たちは日常がこれなんだ、逃げられないんだ、と思うと申し訳なく、行かずにいられなかった。」という。
大学生の男の子「戦争は嫌です。コワイです。逃げ出したいです。
でも逃げるところがない。逃げないために勉強したくて来ました。」
この素直で当たり前の感情。立派だと思った。
自衛隊イラク差し止め訴訟
立憲国家、法治国家、民主主義国家において「行政」「国会」では議論にならない(小泉さんは深い議論になりそうになると全て「見解の相違」で切り抜ける)ということで、
残る「司法」に訴えようと、イラク派兵は
- 憲法違反
- 日本人の平和的生存権の侵害
- イラク措置法違反
- 米英の侵略行為への荷担
という4つの問題点から市民訴訟を起こすことを池住さんが中心となって提案されている。
請求の趣旨は
- 違憲確認
- 派兵差し止め
- 慰謝料(原告それぞれに1万円)
を求めて原告費用年会費(変なの?)3000円で、原告募集をしている。100名近くの愛知県の弁護士たちが手弁当で訴訟を代理してくれるらしい。
弁護士さんたちは日本の司法界の現状から、最高裁まで行っても残念ながら負けるでしょう、とおっしゃっているという。
しかし、自衛隊に死傷者がでる→志願者が減少→徴兵制→憲法改正→国民投票で過半数。という流れを考えたときに、訴訟で戦う約2,3年に出来るだけ世論に訴えたい、ということだった。そんなシナリオは信じたくないが、この2ヶ月の急な動きを考えると本当に怖くなってくる。
弁護団の方に「池住さん、どうして負ける戦いばかりやるんですか?と言われました。」と苦笑いの池住さん。
しかしこれは裁判の勝ち負けの問題ではなく、市民の運動なのだ。
私が生きている間にまさか平和憲法の改正が行われる可能性が出てきたなんて考えたくない。
できることをやろうと我が家は2人の高校生も含めて原告になることを全員了承。
原告の申し込み状況は2月4日現在で260名。みなさんも考えてみて下さい。
「自衛隊イラク派兵差止訴訟」原告申込用紙(PDF 194KB)
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