7月6日
「粗食のすすめ」でおなじみの幕内秀夫さんの食生活実践講座に参加
県土整備員会を2日後に控えた日曜日、家で資料を読んでいるとすぐに寝てしまうので、迷ったけれど思い切って東京赤坂での食生活実践講座に参加。講師は「学校給食と子どもの健康を考える会」代表の幕内秀夫さん。「粗食のすすめ」がベストセラーになっている超売れっ子栄養士さんである。
実は幕内氏の講演、2年前徳島(脇町)で聞かせてもらった。「子どもが野菜を食べない、と悩まなくてもいい。子どもはちゃんと必要なものを食べているんだから。ご飯を食べていたら主な栄養の7割は取れている。ピーマンなんて食べなくていいんだよ。」というようなことを面白おかしくしゃべってくれた。まるで落語のような講演だった。この人の話なら10時〜16時まで東京で缶詰めになっても、そう苦にはならないかな、と始発の飛行機で東京へ。
学校給食、掘り下げていくと日本社会のいろいろな問題がすべて絡まって見えてくる。アメリカの世界食糧戦略、衰退する日本農業と日本人の食文化、環境の問題、安全な食品の問題、教育の問題、生活習慣病(医療)、世界の飢餓の問題など等。たかが学校給食だが、明日を担う子どもたちの健康、身体と心の健康の問題は日本社会にとって重要だ。
戦後、日本の栄養学は、栄養素主義とカロリー主義に支配され、「ごはんよりおかずを食べなさい」「日本人は塩分の取りすぎ」「日本人にはカルシウムが不足している。牛乳を飲みなさい」のような(幕内氏によれば)誤った教えが広まった。
日本人の体質にあった伝統的な食生活がどんどん欧米化され、肥満児が増え、生活習慣病が増え(糖尿病患者1000万人)、牛乳を飲んでも骨はもろくなり、長寿社会だけれど50歳以下の年代の死亡率は高い。
ごはんと味噌汁と漬物、これが正しい日本人の食事の基本、と幕内氏は熱く語る。実際、彼の講演を聞いて米飯給食、日本の伝統食を取り入れた幼稚園や小学校では、残飯が減り、病気で休む子が減っているようだ。
子どもはハンバーグやウィンナーやグラタンが好きで、煮物やおひたしは残すのでは?と思っていた大人たちには意外な結果だ。
「行政が動くかどうかが最大のポイント、女性議員が増えても食問題に本気で取り組む人は本当に少ない。食の安全の問題(添加物や遺伝子組み替え)に取り組む女性議員は多い、けど順番が逆だよ、まずはご飯を食べることを思い出して国産のものを増やすことが先決」と幕内氏は安全な肉や加工品を宣伝する生活クラブ系生協さえも気に入らないらしい。毒舌ともいえる彼の口調、敵も多いだろうけど、すごい人だという印象は2年前と同じ。
実は、私事ここ10年ほど、油もの、甘いもの(お饅頭系は好き)が苦手になり、動物性たんぱく質も得意ではなくなってきた。好きなものは幕内氏の薦めるものばかり、ごはんと味噌汁と漬物、煮物、魚料理、とうふ料理、などである。人生のUターンを過ぎてしまって歳をとったのか、それともこれからよほど長生きするかのどちらかだろう。
高1の娘も私とほとんど同じ食べ物嗜好、根っからの日本人である。しかし高3の息子は清涼飲料水多量消費、スナック菓子大好き、ハンバーガー大好き、焼肉、ラーメン大好き、同じ兄弟でも全く違う食生活だ。ところが学校の成績もまあまあで精神的にも安定しているのは息子のほうである。食べ物の恩恵はすぐには表れないらしい。息子の将来の健康がおおいに不安…。
そして家族全員、悲しいかな学校給食の恩恵(?)を受けた世代なので、パンも大好きになってしまっている。ごはんには添加物はないけれどパンには50種もの添加物が入っているらしい。
我が家(さくら農園)では最近小麦の収穫をした。もちろん無農薬。夫がその日の分を脱穀して粉挽き機で挽いて、毎晩のようにパンを焼いてくれる。
「国産小麦のパンやお焼きはとても重い」とこの日幕内氏が言っていたが、夫の作る思い入れいっぱいのパンを思い浮かべながら最終の飛行機で家路に着いた。
帰宅後、息子にジュースの害を話した。機嫌よく聞いてくれて、ちょっと安心。
徳島では7月27日に脇町社会福祉センターで、8月24日には山川アメニティセンターで、食生活のシンポジウムが行われる予定です。
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