6月25日
徳島市西須賀町葛島の最終処分場跡を
関口鉄夫氏と歩く
今日は、徳島県廃棄物ネットワーク(代表:大塚明広さん)の主催で、徳島市内の最終処分場の跡を視察した。このネットワークは、県内各地で焼却場や処分場の近くで問題を抱えている住民グループの緩やかなネットワークで、お互いの情報交換、共同での勉強会の開催などを行っている。
昨年松茂空港埋立工事を大田前知事が一時ストップしたとき、埋立地が廃棄物最終処分場になっているということで、長野県田中康夫知事のブレインである関口鉄夫さん(専門は地質学)と、県内処分場めぐりツアーを組み学習会を開催した。この頃事務局雑用係として大変忙しい思いをしたけれど、たくさんの方の参加があり、その後このネットワークを作ることになり、阿波町の深田君代さんを中心に活動をしている。私も事務局の一人としてささやかながら深田先生の話を聞く役目などさせていただいている。今日は地元の方々を含め約30名の参加。
今日の視察は、この処分場が閉鎖されて10年経っているということで、市と住民が交わした処分場についての管理協定書を破棄してくれないかという話が市当局から住民側にあり、区長さんから地元市会議員の久次米さん(会派は市民ネットワーク、廃棄物ネットワークの世話人)に相談があったことから実現した。
関口先生は、私たちの顧問となってくれている、全国の住民運動を勇気づけてくれるすばらしく頼もしい先生。専門的な話も斬れるしユーモアたっぷりの軽快な語り口、何度講演を聞いても飽きない。信州大学や長野大学の講師もされているのだが、夏はズボンの裾を捲り上げ、半そでU首下着シャツ姿で講演(なぜかそういうタイプの人に惹かれる私。夫も初対面で破れたジャージに半纏を着ていた…)。今日も同じ姿に長靴で現場を視察されていた。
さて、本題に入ろう。この最終処分場、広い広い、7,8反くらいだろうか? なんと閉鎖した最終処分場の上は、青々とした水田になっている!!!処分場の下部に集まってくる水をポンプでくみ上げて処理しているが、この水処理場の設備は下水処理用のもので、最終処分場用のものではないらしい。
処理した水を用水路に流している。お米が出来るの?稲はもう40センチほどに育っている。根元に近い茎の部分はどす黒く、水の中には青海苔のようなヘドロのようなものがたくさんある。タニシが異常に多い。水の富栄養化が進んでいるのだろうか?ボコボコとガス(たぶんメタンか硫化水素)が発生しているところもたくさんある。
市側から処理した水の水質検査や土壌検査の様々なデータが開示されているようだ。素人(私を含めて)は、このデータを見せられて「安全です」と言われればそれを素直に信じてしまうだろう。しかし、そのデータを専門家である関口先生に見てもらうと、井戸水についての深さや地質の記載がなかったり、土壌検査も覆土材なのか周辺土壌なのか書いてないのでわからないし、発生ガスの作手法も書いてないし、わからないことだらけで評価できないという評価。
結論として判断材料を隠しているのか、徳島市に調査できる知識や技術がないのかのどちらかだろう。ということで、是非ちゃんとした調査が必要ということ。
沖縄の平良市が廃棄物処理の実態の杜撰さを住民に謝り、調査委員会をつくりちゃんと処理するようにしたという逸話があるが関口先生はその委員会の委員長を務めた。このような専門家の委員会を作る時に一番大切なのは、人選(これは大田前知事が作った汚職調査団でもいえることだね)。行政の言いなりになる御用学者は要らない。住民が委員を選べるようになることが大事。
この規模の調査だと、委員会を出来るだけコンパクトな人数にして(5人程度)調査機関6ヶ月で、1千万円ぐらいの予算が必要だろうということだ。県や国にも補助を要望できるかもしれない。
久次米さん、頑張ると言っていた。が、一番大切なのはそこに暮らす人たちが頑張ることだ。まずは、住んでいる人たちに関心をもってもらい危険な土地であるということをわかってもらう作業だ。幸い、この区長さんは良識あるすばらしい人物とみた。住民はラッキーだ。私もやらなくっちゃね。
残念ながらこのような廃棄された処分場は、全国に五万とあるし、徳島にも無数にあるだろう。暗い話だ。しかしいつも関口先生の言葉に勇気をもらう。
「簡単なことではない。一度には変わらない。しかし、少しづつ少しづつ努力を重ねているとある日劇的に変わる時がくる。次の世代にこういう危ない場所を残さない、というくらいの長い目で見て活動しよう。次の世代に残してやれる財産はお金でなくていい。安全な飲み水、農業できる水、それが何よりの財産だ。区長さんを独りぼっちにしないように、みんなで支え合っていって下さい。僕にできることはなんでもします。」
こういう人間に会えるから市民運動はやめられない。
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