8月28日
教育格差の社会へ?〜教育基本法改悪反対集会〜
松山大助教授の大内和裕さんの講演を聴いた。彼の講演を聴くのは2度目。情熱を持って日本中を飛び回り、毎日のように講演をされているのだろう、とにかく話し上手。内容はとっても恐くて暗い話を、面白くわかりやすく解説してくれるプロのハナシ家のような人だ。
次の9月22日に国会が召集される予定だが、最大の焦点は教育基本法改正と国民投票法案か。教育基本法は自民案の「愛国心」が、公明のこだわりで「わが国と郷土を愛する」という表現におちつき前国会に提出され、継続審議となっていることは報道等でよく知られているが、この改正案によって教育の世界にも「格差」が広がる恐れがあることはあまり一般には知られていない。
(基本法と改正案の比較はこちら)
現行(教育の機会均等)第3条
すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
改正案(教育の機会均等)第四条
(1)すべて国民は、等しく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位または門地によって、教育上差別されないこと。
一見同じような条文だが、「その能力に応ずる教育」「その能力に応じた教育」との違いは?
大内さんによると、「応ずる教育とは、いろいろハンディ(身体的、経済的、社会的ハンディ)があったとしても、結果の平等をめざすために必要な教育をやる、という意味であるのに対し、応じたというのは、成績がいい子どもはより伸びるように、ハンディのある子はそれなりの、というような、結果的にますます能力の差がつくようになる恐れがあるのだ。」と言う。「考えすぎではないのか?」と一瞬思った。
「もうすでに格差教育への取り組みが始まっている。来春実施される予定の全国一斉学力テストにより一学年約120万人の子どもたちに1番から120万番まで順位がつく。例えば“私は79万4879番”という具合だ。それによって学校別、都道府県別にすべてランキングされ、ランキング上位の学校の地価は上昇し、マンションが建ち、家賃が上がり、所得の低い家庭は家賃が払えなくなり引っ越しとなる。
サッチャー首相下のイギリスがそうだった。」「アメリカにしても家賃40万円も払えるような家庭の子どもが集まる学校がある一方で、子どもが銃を持ってくる危険性から金属探知器が設置してあって、教師もなかなか集まらないような学校もあるという格差だ。」全国一斉学力テストに参加をすることを決めている学校が徳島県でも大多数だったと思う。何のためのテストなのか、深く検証が必要だ。
それに中央教育審議会では「これまで出来ない子たちのために手間(金)をかけすぎた。これからは出来る子をより伸ばすために手間(金)をかけるべき」というような発言があったとも聞く。
教育とは平等な社会をめざすための社会の構成員としての個性溢れる人づくりではないのか?嫌な時代になりそうだ。それに、次の総理大臣最有力の安部晋三氏は、「国立大の入学の時期を9月にして、半年間はボランティアをさせる」なんて言っている。ボランティア(“自発的な”という英語)を強制するなんて矛盾した話だ。そのうち、兵役が義務付けられたりはしないだろうか、不安である。
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