7月17日
リサイクルで国際協力
〜NPOセカンド・ハンドの挑戦〜
参議院選挙の結果を総括する元気もないままに、休会していた6月議会も始まった。
(7.12の日記を書いたのは実際はもっとずっと後なのです。)
冷房の効きすぎた本会議場(クーラーのない生活に慣れた私の席は特に寒い)に毛布の膝掛けを持ち込んで2日間の代表・一般質問も終わり、付託の経済委員会も商工労働部が終了、前半のヤマ場を終えた。
20日に農林水産部の委員会を控えていたが、誰かに、何かに元気をもらいたくて、TICO(徳島で国際協力を考える会)の定例、地球人カレッジに参加した。
地球人カレッジって?
TICOは93年に発足して11年目、世界最貧国のひとつアフリカのザンビアで、救急医療、女性の職業自立支援、子どもたちの栄養改善、農村の自立支援などに取り組むNGOだ。
ザンビア事務所に日本人2〜3名が在中し、山川町のさくら診療所にザンビアの活動をサポートする事務所をおく。
国内での活動は、各種チャリティ事業(バザーやコンサート)、小中高等学校への開発教育(国際理解教育)の講師派遣、そして毎月一回(原則第3土曜の夜7:30〜9:30。さくら診療所のデイケア室にて開催)の一般向け「地球人カレッジ」。
国際協力や環境保護など多種多様な活動の担い手を講師に、その経験を紹介してもらうというものだ。1ヶ月はあっという間で、毎月の開催企画、広報はとても大変なのだけれど、もう6年以上も続いている。
(私も約3年間、TICOの事務局を経験しているのでその苦労がよく解ります・・・)
この日は、香川県高松市に本部のあるNPO法人セカンド・ハンドの代表、新田恭子さんがゲスト講師。
新田さんの本業はフリーの司会・アナウンス業、という。
なるほどソバージュの長い髪といたずらっぽい笑顔のすてきな美しい人だ。性格はかなり男気(?)があり、惚れそう。
セカンド・ハンドの活動を簡単に説明すると、使える品物を無料で提供してもらい、店舗やフリーマーケットで販売し、その収益でカンボジアの学校、孤児院建設、子どもの教育などを援助しているそうで、この10年間での支援額は1億円を超えるという。
チャリティショップで働く人たちは有給スタッフ2名(といっても薄給でバザーの準備の時など朝から朝まで働いてくれているという)の他ほとんどが無数のボランティアで、事務局経費も限りなくゼロに近く、この猛暑に店にクーラーさえ整備されていないという涙ぐましい節約ぶり。
(最近、中古クーラーの無料提供があったようだがまだ取り付けていないらしい。)自発的な地域独自経営の支店も全国に増えているとか。
チャリティショップ、活動のきっかけは?
彼女はちょっと風変わりなアナウンサーで、世界各地を旅した経験を自身が企画するラジオ番組でレポートしていた。
15年前偶然訪れたカンボジアで同じ64年生まれの友人が出来て、彼にポルポト時代のことを聞いてみた。その時いつも明るい彼の顔が一瞬にして曇り、話をしたがらなかったという。ポルポト時代には知識人を中心に200〜300万人の人が虐殺されたという。
やっと聞き出した彼の話によると父親は旧政府の役人だったために殺されたという。そして10才だった彼は強制労働所に連れて行かれ、連日朝6時から夜10時まで働かされ、食事は一日1回の重湯だけ。7人兄弟で生き残れたのは彼と妹一人・・・。
このことを長い長い時間をかけてやっと話してもらったとき、新田さんは何不自由ない日本の小学生だった10才の自分を思い出し「これは“その国に生まれた運命”という一言でかたづけてはいけない!」と強く思ったという。
“運命”の一言で片づけてしまう人が世の中には本当にたくさんいると思うけど、そこが彼女のすばらしさ。大学の図書館の修復を取材して「本を送ってほしい」と頼まれた彼女は、間違った英語の文法で教えている先生の板書を必死で写し学んでいる子どもたちを目の当たりにして、心から「英語の本を送ってあげたい!」と思ったという。
そして少し前に訪れていたイギリスの「チャリティ・ショップ」のことが頭に浮かび「そうだ!あれを日本でやればいいんだ。」とひらめいた。
しかし、品物を無料で提供してもらえたとしてもそれを売る店舗はないし、資金もない。当時、高松の商店街は空き店舗も多く、「とにかく企画書を書いて、無料で店を貸してくれる人を捜そう。無理かもしれないけど、100人に頼んだら一人くらい協力してくれるかもしれない。」
とお願いの日々。
そうするとちゃんとわかってくれる人がいて、3ヶ月間無料で店舗を提供してくれた。その3ヶ月で74万円を売り上げ、34万円分の本を買って、40万円で学校を建設した。それがセカンド・ハンドの始まり。
その後も無料事務所の提供があり、資金、その他困ったことがあると次々とボランティアの救い主が現れ、ちゃんと何とかなっていったという。
以後、毎年カンボジアの小学校舎が一棟づつ立っていった。
今もセカンドハンドにはたくさんのボランティアが訪れ、地元の学生たちの国際協力学びの場ともなっている。カンボジアへのスタディツアーもある。高松に行かれたときは、是非行ってみて下さい。
参加者からは質問が相次ぎ時間切れとなったが、「これだけはどうしても聞いておきたいこと」ということで「新田さんの目標は?」という学生らしい女性の最後の問いに「世界平和。自分の力はとても小さいし、私が生きている間には実現しないかもしれない。でも、私たちに直接変える力はなくても、変える人をつくるチャンスはある。」と語った。
ちょっと元気をなくして参加した地球人カレッジ。
ニッポンは政治の世界を中心に沈没しそうなどうしようもない国だ、
と思ってしまうことが多い今日この頃だけれど、
この日、新田さんが語ってくれたたくさんの日本人の優しさ、人情。
まだ見ぬ人、会ったことも話をしたこともないたくさんの人たちが同じ気持ちで頑張っている。
だからやっぱりあきらめないで一歩ずつ進まなくては!!
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