3月20日
平和のためのワールド・アクション〜イラク開戦の日に〜
米英によるイラク攻撃が始まった2年前の今日を記念して、イラクからの自衛隊撤退と世界の平和を願って、 党派やイデオロギーを越えて市民レベルでアクションを起こそう! と市場町在住の宮崎路子さん(30代、1児の母) を中心に、昨年に続き「3.20藍場浜」が行われた。
会場の藍場浜公園にはフリーマーケットや屋台、 イラクのミニ写真展などのテントが立ち並び、寸劇やトークショー、午後からは「平和LOVE」の人文字やピースウォーク、夕方から講演会が開催された。
私は、お昼からの人文字とピースウォーク、講演会に参加。昨年は雨模様で肌寒かったけど今年は天候に恵まれ、たくさんの人が集まっていた。(たくさんの人は昨年と同じ。参加のべ人数は500人以上)
願っているだけでは平和にならない
初めて受けた平和のワークショップで「平和とは単に戦闘状態がない、という意味でなく、誰もが平等にお米を食べられるという意味の文字(和という漢字は、米に口)」と教わった。爆弾は落ちてこなくても、飢えて命を失う子供がいれば、それは平和とは言えないということだ。
平和を願うのは誰も同じ、当たり前のこと。だけど平和の運動はずっとあるにも関わらず、飢えも戦争もいっこうになくならないのはなぜか。戦争は経済活動の一環であり、経済の構造を変えないと戦争はなくならないのではないか、感情的に「戦争は嫌」と言っているだけではなく、具体的に戦争に頼らなくてもいい経済を自分の住む地域から作っていこう! という努力が必要。地産地消の運動もそうだし、農林業の振興もそうなんじゃないか。
プラカードを持ってシュプレヒコールをあげて行進することに単なる話題としての意味はあっても、そんなことで平和は作れないんじゃないか、という思いが頭をよぎっていたが、とにかく歩き始めた。実行委員長の宮崎さんの生き方(有機農業・自然養鶏を営みながら、地域のことにいつも真剣に取り組んでいる)に共感しているから、「平和、平和」と口だけの人ではない彼女だから、このイベントにもすんなり参加、協力した私だった。それでも、道すがら手を振ってくれる方もいたし、手を振り返してくれるたくさんの子どもたちに出会うと、やっぱり嬉しくなってきた。
本田さん(県民ネット)と扶川さん(共産党)が苦労した「お手製・巨大・平和の鳩」も、何ともユニークでほほえましく先頭を行進し、道行く人々の目を惹き、私たちを勇気づけてくれた。黒川さん(新風)も三好郡から小学校の卒業式を終えてはるばる飛んで来られたとか。
約1時間を歩き終えて「お疲れさま」と声を掛け合う市民の笑顔はすがすがしかったし、思いを声に出し行動するということはやはり大切なことだと思った。
講演会はイラクで活動されているJVCの佐藤真紀さん
岩波ブックレット「子どもたちのイラク」を読んでいた私は、佐藤真紀さんは女性だと思いこんでいたのだが、受付に現れた彼(彼女?)はなんと男性だった。NPO日本国際ボランティアセンター(JVC)のイラクプロジェクト担当、開戦直前までイラクの子どもたちと交流を続けていた。
白血病が激増!
講演の中で衝撃だったのは、湾岸戦争終了時からイラクに残るたくさんの戦車で遊ぶ子どもたちの姿の映ったビデオ。戦車には劣化ウラン弾の跡があり、放射能検知器の針が最大限に振れる音がする。放射能の影響が出るのは5〜10年後ということで、(湾岸戦争1991年)最近イラクの子どもたちに白血病が急増しているという。
「危険な戦車で子どもたちが無邪気に遊んでいるのに大人はなぜ止めないのか?」本田さんが質問した。劣化ウラン弾について無知な私だったが、アメリカは劣化ウラン弾が危険だ、ということを認めていないという。国連とWHOも責任のなすりあいのようなことをしてきちんと調査していないらしい。だからイラクの大人もその危険性を理解していない。
さらに、きちんとした治療をすれば子どもの白血病は80%が治るといわれているのに、抗ガン剤が化学兵器に利用される恐れがあるということで長い間イラクには入らなかったということだった・・・。
佐藤さんたちが支援した白血病の子どもたちはほとんどが命を失っているという。しかし、たとえ短い命だったとしても子どもたちは一日一日成長しており、例えば、初め絵を描いたことがなくて人の顔が描けなかった子どもたちが、1時間いっしょに練習するとぐんぐん上達して描けるようになる、その1時間の成長の中に子どもたちのすばらしい「生」を佐藤さんはみる。
短い命の中の短い出会いをとても意義あるものだと感じている。
こんなにすてきな愛を持った人もいるのに、戦争を仕掛ける側もやはり人間なのだ。
自衛隊の評価は?
私たち日本人が気になるのは、イラク人たちの自衛隊の評価だ。宮崎さんが質問した。ほとんどのイラク人たちは、自衛隊が何をしているか知らないという。
「自衛隊はアメリカ軍と違ってイラク人を殺さないので、敵意は持っていないだろう。サマワの人たち(イラク人の約1%)は、自衛隊が子どもたちにお菓子をくれるので、自衛隊が好きだろう。彼らは給水活動をしているが、ほとんど自分たちが滞在するための給水プラスアルファ程度で、それだけのため450億円ものお金がかかっている。これは滞在するための経費であって自衛隊の活動費はほとんどないらしい。サマワ人は、自衛隊の経費がいったいいくらなのかは知らない。」
イラク人に嫌われてないということに少しホッとした。が、自衛隊の活動についてはなんともアホらしい話ではないか。国民の大多数が派遣反対の中、家族に死ぬほど心配をかけ、隊員たちもこれではやりきれないし浮かばれないのではないだろうか。
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