8月9日
台湾からの客人〜張正揚さん来徳〜
台湾で美濃(メイノウ)ダムの反対運動をされている張正揚(チョウセイヨウ)さんが来徳し講演されるという情報が、直前に入った。前日、衆議院が解散し総選挙が行われることになり、政党とのおつきあいの仕方に悩んでいたが、原点である「吉野川の運動」の面々に会ってリフレッシュし静かにきっちり考えるきっかけにしよう、と毎晩のように家を空けていた私であったが、この日も徳島市内まで出かけていった。
張正揚氏は台湾美濃市美濃ダムをとめた、地域大学など町づくりにかかわるリーダーで、第十堰住民投票運動の折にも来日され、吉野川シンポジウムの姫野氏が台湾の国際会議で講演したこともあり、交流が続いている。
美濃ダムは高さ147m、容量3億2千万立方メートル、計画決定は暗室の中、利水目的の大型ダム。河川の汚染、ダム本体が民家に近すぎて危険(1km)、文化の喪失などが問題で、住民の72%が反対しているそうだ。張さんらは海外の事例に学びながら反対運動を展開されてきた。今、ダム計画は凍結状態。
美濃市の人口は約4万5千人、吉野川市と同じくらいだ。高齢化率55〜60%と過疎化した土地に、この運動によって、若い人もチラチラ帰ってくるようになり、彼らがまたこの運動に重要な役割を果たしたという。ダムに代わる地域振興策として張さんらは「地域大学」を開いた。そこで有機農業などを学ぶことができ、専業主婦の多い地域で自分の夫と話すだけだった妻たちはこのコミニュティ大学のおかげで社会が大いに広がった。
日本と台湾をつなぐ漢字の文化
運動に使われたパンフレットを見せてもらったが、ダムで沈む予定の谷に棲む黄色い蝶を運動のシンボルに上手に取り入れていた。青い民族衣装を着たおばさまたちの気迫が伝わってくるような写真がとてもいい。この日の講演が英語で行われたように、台湾語は私たちには全くわからないのだが、パンフレットに使われている漢字のおかげで親近感でいっぱいだった。「ダム」=「水庫」、「反ダム、脱ダム」=「反水庫」、わかりやすいではないか。
好男好女反水庫
好山好水留子孫
昨年の洪水の頻発に対して今年は大渇水で香川県は夜間断水になるらしい。
元木頭村長の藤田恵さんから、この原稿を書いている今日(17日)残暑見舞いが届いた。
「密植された杉林は間伐などの手入れがされず、保水力を失い雨が降ってもすぐ川から海へ流れてしまい蒸発しないから雨も少ない。この悪循環は国の林業政策の誤りで、そのため大夕立も降らない。これが私の体験からの推論です。(藤田さん著「脱ダムから緑の国へ」緑風出版176頁・「大夕立が降らない」の一部)」
今私に100%支持できる政党はない。しかし、この総選挙が日本を変えるきっかけになってほしい!野党第1党を応援することになりそうだ。
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