吉田ます子のでんでん日誌 |
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活動日記 2011年5月4日 |
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6月13日 4月から準備会を重ねてきたセミナー、会場は46人席、少数精鋭の参加者を目指した。実行委員会の努力の甲斐もあり、徳島新聞も二度もの予告記事を出してくれ、会場は人で溢れた(81名!)。まだ若い29歳の講師、道家哲平さんは、一所懸命準備してユーモアを交えながら精一杯の講義をしてくれた。誠実さと生物多様性保全にかける静かな情熱の伝わったいいセミナーだったと思う。コープ自然派の週1発行のふれあいニュースで、このセミナーの報告を連載できる機会をいただいたので、順次掲載します。
1)生物多様性条約とは?
生物多様性条約とは、「この地球の上でこれからも私たちや私たちの子供は生きていこう、大地の凸凹が織り成す多様な環境とそこにすむ多様な生命と一緒に生きていこう」という世界の約束です。そのために、目標を作り、ルールを作り、やるべきことを決めるという世界の約束なのです。 ワシントン条約や世界遺産条約など自然保護の条約の中で最も加盟国の多い191カ国が参加(アメリカやイラクは未加入)、これまでの最大の成果として「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に抑える」という世界目標を作れました。が、この目標は達成されそうにないそうです。 しかし、日本では、44の自然保護団体の永年の働きかけもあり2008年議員立法により「生物多様性基本法」が成立、今後、県や地方自治体に計画づくりが義務付けられたら是非、市民参加で! そして条約の締約国会議(COP:Conference Of Parties)の議長国として2010年10月、名古屋でのCOP10開催が決定しました。COP10は生物多様性をテーマにしたお祭り、お祭り好きの日本人に生物多様性の大切さを伝えていくまたとないチャンスです。徳島でも一緒に盛り上がっていきましょう! 2)生物多様性とは? 当時同じ県土整備委員会メンバーだった開発推進の議員さんは「あんな小さな黒い虫のため、埋め立てに反対するなんて、徳島の経済活性化のために実にナンセンス!」と鼻で笑いました。でも、話はそう単純なことなのでしょうか? 道家哲平さんは語りました。生物多様性とは「遺伝子から、生物種、生態系にいたるすべてのレベルにおよぶ生命の多様性」「生きものの賑わい」「存在する生きものそれ自身と、それらの間の様々な関係の総称を全体として示すことば」であり、多様な生き物が存在するためには多様な環境の存在が必要であり、生き物同士のつながりが必要で、つながりが一ヶ所でも崩れると多様性は連鎖的に劣化すると。 たとえば、ハチによる受粉は人工授粉よりもはるかに実をつける確率が高く、質のよい実になるというトマトでの実験結果が示されました。また生息する場所の地形的つながり(連続性)、過去とのつながり(歴史性)も大事であり、他の生物や他の場所の個体との交雑、その種の絶滅は「不可逆な変化」と断言。 温暖化で気温が2℃上昇したときのてんとう虫が2世代増加する間に、てんとう虫を天敵とする(人間にとっては)害虫であるアブラムシは5世代増加してしまい、アブラムシの数が増え、農薬が多用され他の生き物の生態系も狂ってしまう、という具合に温暖化と生物多様性も深くつながっているのです。 3)失われる生物多様性 原因は3つに分けられます。 4)地球の今 絶滅危惧種の割合 時計回りに この他、鳥類では絶滅危惧種が約12%、両生類では約30%にも及びます。 もしミツバチが絶滅してしまったら、多くの野菜や果物の受粉が困難になり、農業は大打撃、世界の食糧生産が危機的な状況になるといわれています。農薬が原因という説もあるようです。 さて、これらの生物多様性の減少を食い止めるために2008年に「生物多様性基本法」が成立したことはすでに報告しましたが、この法律は「鳥獣保護法」「特定外来生物法」「種の保存法」などの法律の上位に位置する「理念法」であり、●自然資源を持続可能な方法で利用すること、●環境を脅かす可能性のある事業などが開始される前に、問題を「予防的」に解決すること、●一般市民の意見を考慮すること、などが実現される可能性が高まったということです。 5)生物多様性を支える市民力 実はこの原稿の締め切り前夜、地区の衆議院小選挙区立候補予定者全員が参加しての公開討論会に行ってきました。市民の関心は高く、会場はたくさんの人で溢れていました。しかし、討論のテーマは「景気、経済政策」「過疎化対策」「社会保障制度」「選挙制度(主に世襲制)」の4つ、どれも大切なことに違いはないのですが、気候変動や生物多様性は全く取り上げられませんでした。(それどころか過疎対策について、「徳島にリニアモーターカーや新幹線を持ってくる交通革命をやる。」と言っている方もいて、思わず「徳島の生物多様性はどうなるの?」と叫びそうになりましたが、退場させられそうなので我慢しました...。) 県民の関心の優先順位がこのような質問にさせるのでしょうか。道家さんのセミナーでは、「海外ではNGOを支える人の数が違います」「例えば日本自然保護協会の会員数が国民1万人当たり1.8人、に対してドイツ自然保護協会では72.8人、日本野鳥の会が4人に対してイギリス王立鳥類保護協会は170人だ」ということでした。名古屋でのCOP10が、日本全体の一般市民の関心を高めるものであるように、徳島でできることを考えていきましょう!
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