吉田ます子のでんでん日誌 |
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活動日記 2011年5月4日 |
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3月20日 米国野村證券に勤務中、となりの貿易センタービルが、9.11事件の標的となる。震度6程度の爆風を受ける。物理的恐さもさることながら、その日からアメリカ国民が恐くなった。 第1の犠牲者はジャーナリズム、唯一つのことしか言わなくなった。「テロリストはこういうやつらだ。テロリストは理屈はわからない。やられる前にやるしかない。」というようなことを叫ぶブッシュ大統領の映像が毎日TVで流される。一般市民はスーパーに銃を買いに走り、主婦たちが「銃の撃ち方」を習いに軍隊に行く。 もともと父親の狩猟の趣味に銃が1丁だけあった友人の家には、遊びに行く度に銃が増えている。武器というものは増やすほど不安になって、また増えていくのだ。アメリカには2億3千の銃があり、一日13人の子どもが銃で死んでいるという。 9.11で国民がパニックになっているときに政府は危険な法案をすっと通した。三大政策
アメリカに憧れて住んだが、アメリカが嫌になる。真実を知りたい、自分でつきとめよう、ジャーナリストになろう!と帰国。そのころ日本では、自衛隊をイラクに送るべき、核武装すべきだ、というような議論が起こっていた。イラク戦争を止めたい人たちが世界中から来日して、日本人に訴えていた。通訳の派遣の仕事をしていたので、彼らの集会で働いた。なぜ、日本で訴えるのかきいてみた。 理由1.日本は被爆国だから。イラク戦争は劣化ウラン弾が使われ、イラク人は原水爆と同じ同じ放射能被害にあっている。日本は軍でなく、薬を送ってほしい、医者を送ってほしい、と訴えた。 2.日本には平和憲法がある。軍隊を持たないのは他にはコスタリカだけ。特に日本は、大きな経済国、世界の大国なのに、60年以上も平和憲法を守ってきた。国民の大変な努力の賜物だろう、日本人を尊敬していると言う。そういう日本人は信頼できる。「日本は人を出さない、国際貢献していない」という報道が成されるが、武力を出さないことを貫いていることに対する世界の信頼は確かにある。 2004年大統領選挙時、再び渡米。3.20のピース・ウォ−クに毎年参加しているプエルトリコ人の母親に出会う。長男は騙されて軍隊に入り、イラクに派遣された。自分をインタビューしてこのことを本に書いてくれと言われた。 アメリカは73年に徴兵制が廃止され、志願兵制度だが、経済格差が生まれることで、底辺の高校生、大学生が次々と志願兵となる。まず、2002年に教育の法律が改正される(日本では2006年に教育基本法改正)。学力格差をなくすため、という名目で国が教育を管理するようになる。(日本の教育基本法第10条の改正と通じる)全国一斉学力テストが導入される。その結果で教育予算に格差がつけられる。「落ちこぼれゼロ法案」というが、現場の教師たちにインタビューしてみると「裏口徴兵制度」と呼んでいた。 生徒の情報を軍に出さないと補助金を全てカットされる。親の年収、親の職業、生徒の携帯電話の番号など。抵抗していた教師たちも補助金がもらえなくなるので情報を出してしまう。将来のない順に、生徒がリストに載せられる。そしてリクルーターが勧誘に来るという仕組み。 勧誘の条件、
新卒兵士の年収は186万円、生命保険、学費などが差し引かれる。逃れる方法は自らがリクルーターになること。リクルーターのノルマは月に3人入隊させること、出来なければ前線に。だから必死でリクルートする。入隊は志願制だが、格差をつける政策を実行する、経済的徴兵制と言う。 数字で見るイラク戦争、アメリカの実態は死者4000人以上、派兵160万人、7割が2回以上派遣、米兵の自殺者週平均120人。そのうち30%は派兵前の訓練時、35%は戦場で、35%は帰還後1年以内に。 イラク、アフガンの滞在費は月に2.5兆円(!)メンタルヘルスにかかる費用4000億ドル、アフガン増兵9万人の費用1000億ドル。 数字で見るアメリカ国内事情、大学生の借金一人当たり332万円、若者の借金一人当たり50万円、カード破産の最大の理由は医療費(国民皆保険制度がない、無保険者5000万人)ホームレス1300万世帯、食糧切符の受給者は10人に一人、大企業のトップと一般労働者の所得格差は1980年に40倍、2007年には600倍に。米兵の半分は民間企業の契約兵、彼らは死んでも戦死者に入らない。 私たちに出来ること アメリカでも全国15万人の看護士たちが、組合をつくり国民皆保険制度を求めて立ち上がった。日本も企業に医療を明け渡してはいけない。憲法(特に25条:生存権、21条:言論の自由、9条:平和)を勉強して選挙に行くこと、1票の力を侮らないことを大人が子供に伝えていく。出来ることはたくさんある。障害となるものは、私たちが大きな力の前に無力感に打ちひしがれ、目を伏せたくなること。 本を書いてよく訊かれることは「オバマで日本はどう変わる?」「オバマで世界はどう変わる?」しかし、今試されているのはオバマでなく私たちだ。「小さなアクションの積み重ねが国を変えられる!」と信じ続けることが出来るか、が試されている。(信じるのでなく「信じ続ける」。続けることの難しさ・・・) 米兵の言葉「本当の敵はイラクにはいなかった。本当の敵はホワイトハウス、本当の敵はハリバートン」(*元米陸軍兵の証言「イラクにテロリストはいなかった。自分たちがテロリストだった」(毎日新聞3月19日記事「戦いを捨てる米兵、隣国カナダへ逃亡」より)を読んだばかりだ) 最大の敵は、国民の無知と無関心、あきらめること。歴史を見ても大きな改革は小さな声が上がり束ねられたときに起こっている。国連憲章に書いてある理想、市場原理と戦争経済がそれを邪魔する。9.11直後と今とで米国民は変わった。「チェンジ」とは「オバマを動かすこと」(政治家の見極め方。誰が資金を出しているか?誰が政策を作っているか?オバマには人々の心を動かす才能があるが、バックを見ると危うい、国民が変える!)アメリカ人にとって、本当の愛国心とは「国にNO!と言える勇気」。 私たちのするべきこと、政治家をもう一度育て直す、条件付(よい公約を求める)で支援をする。市民の武器は「知る」こと「育てる」こと。有権者として政治を育てる、消費者として企業を育てる、読者・視聴者としてメディアを育てる。 最後に、長男が騙されてイラクに派遣されたプエルトリコ人の母親、キム・ロザリオさんの「100万人の労働者行進」の詩を朗読して講演会は終了。 堤さんの話とキムさんの詩は、ときに無力感に押しつぶされそうな私たちを勇気付けた。来場者は400人、2003年のイラク開戦時にはじまったアクションが、今年も徳島で開催され続けていることの意義は大きい。
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