8月22日
善入寺島汚泥不法投棄事件〜阿波署に告発〜
「告発」なんてことは、できることならしたくないのが人情だ。でも、これほどひどい不法投棄がまかり通っていて良いはずがない。県が「環境首都とくしま」というのは厚かましいではないか。
日本の食料自給率はカロリーベースで39%、穀物自給率なら27%。こんな国は珍しい。貿易がストップするようなことが起これば、国民はすぐに飢えてしまうのだ(徳島のようなところはまだ良いが、東京、大阪、名古屋の大都市圏3000万人の食は確保できないだろう)。家畜の餌となっているとうもろこしはほとんどが輸入だし、毎年、国内で生産される食糧よりもたくさんの食糧が輸入され、それが残飯や排泄物となって国内にたまっていくのだから、いくらそれらをリサイクルして優良な堆肥にしたとしても、供給過剰になってしまう。堆肥の不法投棄が全国で起こるのは、必然といえるのかもしれない。農業従事者はますます高齢化し、耕作放棄地が増大する。同じような不法投棄が、そこに起こらないだろうか。廃棄物行政(産廃は県)は毅然と対応し、徳島の農地を守らなければならない。「行政が動かないならやむを得ず」と告発することにになった。詳細はこちら
深田君代さん作〜吉野川の善入寺島に汚泥が捨てられた物語〜
深田さんは阿波市で眼科医院を開業されている素敵な女性。近くに操業予定だった粗悪な産廃の焼却炉(吉野川河川敷内に試験炉が建設されたが、洪水時には浸水するという立地条件だった)を、旧阿波町の全町をあげた粘り強い住民運動と裁判でストップさせた経験を持つ。現在、徳島県廃棄物問題ネットワーク代表であるが、「アルプスの少女ハイジ」をそのままおばさまにしたようなかわいい人。(深田先生、失礼ですね、ごめんなさい。)喰らいついたら離さない粘りと、子どもたちや孫たちに美しいふるさとを!という情熱がいったいどこから沸いてくるのか、不思議な魅力の持ち主である。そして私は彼女に出会えたことをとても幸せに感じている。
*****以下、深田さんのまとめを引用*****
平成8年に三好町にある会社がつくられました。県が再生利用業という指定を与えて操業が始まりました。食品工場から出る廃棄物や汚泥、下水道汚泥、屎尿汚泥などを汚泥発酵肥料にして売るという会社です。
「廃棄物処理業」の会社ではなく、「再生利用業」という汚泥肥料というリサイクル商品を売って利益を得るということで許可された会社です。会社の周りの人たちは、操業が始まってから、ひどい臭いに悩まされました。周りの木は立ち枯れ、飼っている牛の肉の色が黒くなり売れないということも起こりました。いろんなことで町や周辺の住民と、会社や県とずっとトラブルが続いてきました。
ところで、肥料はきちんと作られ売られていたのでしょうか。
平成16年、井川町の山の上にある農場に、ひどい臭いのする真っ黒のものが山積みされているのが見つかりました。雨が降ると下の谷は真っ黒い水が流れました。今、谷は真っ赤になっています。この谷の水を水道水にしています。多くの人が、気持ち悪くて浄水器をつけたり、ペットボトルの水を買っています。「井内谷川の水を守る会」ができ、安心できる飲み水を返して欲しいと訴えています。
ほかのところにもありました。場所は美馬町のある農場。
平成15年にこの農場にやはり大量のひどい臭いのする「汚泥肥料」と称するものがはこびこまれました。この下、高速道路の下を流れる側溝を、黒いあるいは茶色の水が流れました。周辺の住民からの通報で、保健所が見に行きました。あれこれやり取りがあった後、ここは工場に持って帰ったと言うことになっていますが、でも掘ってみますと、そこにはまだまだ真っ黒な汚泥状のものが深く残っています。作物は作られずセイタカアワダチソウが一面に生えています。
そして善入寺島と吉野川南岸
吉野川の中流に善入寺島いう大きな大きな中洲があります。台風などの大水のときは浸かってしまいます。大正の頃にここに住んでいた住民を立ち退かし遊水地として国土交通省が管理する河川敷となっていますが、徳島のブランドとなるたくさんの農作物が作られています。善入寺島の東の端に、この会社の専務であるT氏が17年4月に占用許可を受けた40アールの土地があります。ここに17年摘み菜の頃、3月頃から、毎日のように4トントラックで3台4台と真っ黒な汚泥状のものが運び込まれたそうです。ひどい臭いとハエが大量発生して付近の農地の人は困ったそうです。国交省に通報もしたそうです。9月6日の大きな台風14号で重機も流され(きっと汚泥も)この年はもう持ってきませんでした。
しかし11月吉野川市と阿波市境にある吉野川南岸に同じ物が運び込まれました。善入寺島では18年3月に巨大な穴を掘って真っ黒な汚泥が大量に運び込まれているのが見つかりました。肥料でじゃがいもやほうれん草を作るつもりだと言っています。
国交省は運び込むのをやめさせ(これは良いけど)、覆土させました(これはおかしいですよね)。後の土壌検査で重金属が環境基準を超えて含まれていることがわかりました。
それから1年以上経ちました(17年からではもう2年以上)が、なーんにもつくられていません。国交省は毎日見にゆき写真を撮っています。さっさとなにかできないの?
県は「肥料だから廃棄物でない。T氏が耕作をすると言っているので見守っている」と言います。つもりといえば許されるの? いつまで見守るの? おかしいね。
こうしてズルズルと、40アールに住民団体の調査では概算3800トンもの重金属を含んだ汚泥状のものが放置されています。しみこみ、水が出れば流され、吉野川の表流水も伏流水も汚染されます。このすぐ下では土成町の水道水をくみ上げています。吉野川市の地下水にも影響します。石井町、徳島市の水道水も吉野川の水を使っています。阿波市議会は再調査を求めた意見書を全会一致で決議し県に出しました。吉野川市も県に法的処置を求める意見書が7人の市議から議会に提出され可決されました。みんな不法投棄だと思うのに県だけ肥料だと言い張るのは何故でしょう。不思議ですね。
「徳島県廃棄物問題ネットワーク」という市民団体があります。焼却施設やゴミの埋めたて等で自分たちの生活が脅かされそして問題に気づいた人達が、ゴミ問題を考え、社会の在り方を考え、こどもたちに安全なふるさとを残すために活動をしています。この会のメンバーや隣の土地の人が、不法投棄だよ、犯罪だよと警察に告発しました。県知事には権限があるのだから、廃棄物処理法によって処分してよ、県民の環境を守ってよと要望しています。
このようなことが許されるなら今度はあなた達の隣に、何かが突然!
子供たちに安心して飲める水や、安心して作物が作れる農地を守ってやらなければならないのではありませんか。この問題をきちんと解決することが徳島のどこへも違法なことを許さないという県の仕事の一歩でしょう。ふるさとを守る一歩です。
6月から、この善入寺島の汚泥不法投棄の撤去を求める署名活動が始まりました。目標は1万名以上。知事に持ってゆきたいと思います。自分の子供たちに安心して生活できる徳島を残してやるための運動です。
5月26日に署名活動発足会を開きました。
その後
署名は多くの方々のご協力を得て、9月10日現在、1万5千名以上分が集まっています。9月3日には、阿波警察署が告発状を受理しました。告発の相手は、農地の占有許可を得て、汚泥を大量に持ち込んで未だ耕作していないエコ・システムジャパン社の役員、高橋氏。徹底した調査を期待したい。

告発後、マスコミのインタビューを受ける深田代表
その後、1万5千人以上の署名(徳島県内在住、年齢制限なし)が集まり、「知事に直接手渡したので、いつでも良いので10分でも良いから知事に合わせてください」と申し入れた。1ヶ月待ったのだけれど、会ってもらえないという返事がきた。「代わりに環境局長と環境整備課長が責任を持って対応する」とのこと、署名を提出し、法的処置を要望する日程は10月17日、午後になった。
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