吉田ます子のでんでん日誌 |
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活動日記 10月15日 |
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7月27日 ヒートアイランド現象、灼熱の大阪自治体学校に2日間参加し深夜に帰宅した翌日、大塚ヴェガホールに出かけた。楽しみにしていたコンサート、「ウルマー・カンマー・ソリステン2008」。 診療プラス無農薬の田んぼの草取りに夜明けから日没まで忙しい夫に、「誘っても行かないだろう」と普段は声をかけないのだが、クラシック好きでもあり、この日は診療所の当番でもなく、「行く?」と訊いてみた。そして、常に別行動の私たち夫婦には珍しく連れ立っての外出となった(でも服装はバラバラ…)。 大塚ヴェガホールはこじんまりしたステキなホールで、TICOが和太鼓のヒダノ修一さんコンサートをするときにもご協力いただいたことがある。心意気のある催しには心意気で応えていただける懐の広い管理者である。 この日のコンサートの構成は第1・第2バイオリン、ビオラ、チェロ、ピアノの弦楽4重奏。徳島の野口さん(妻)のピアノと四国出身のヴァイオリニスト須賀陽子さんも一部演奏に加わった。一番前の席に座った私たちは、オープニングのバイオリンの音に初めの3秒で釘付けになった。 CDを聴き慣れている今、改めてCDの音はデジタルなのだと実感。ナマの音(アナログ)のなんと立体感と深みのあること!!第2バイオリンの磯村みどりさんが、曲の解説をしながらの演奏で、わかりやすく、楽しく聴けた。 その解説によると、情感あふれる音の秘密は他にもあった。第1ヴァイオリンのベルトークさん、ピアノのウングレアヌさんはルーマニア人。ベルトークさんは86年、当時のチャウシェスクの独裁政権に反対し、バイオリンひとつ手に持って、野を越え山を越え谷を越え、川を渡ってドイツに亡命したのだ。着の身着のままでたどり着いたドイツのウルムの街頭でバイオリンを弾いてその日の糧を得た。彼のバイオリンは、当然のごとく町中、南ドイツ中の評判となり、楽団に招かれ、今日に至っているという。 彼の創作による「ヒロシマ」、そしてルーマニアの曲だという「望郷のバラード」、故郷ルーマニアを思う彼の気持ちを想像し、その切ない旋律に胸が痛む。すすり泣きの声をこらえるのがやっとだった。クラシックのコンサートでこんなに泣けるとは…。終わって周りを見渡すと目を真っ赤にした人は他にもたくさん。小さい子どもたちも最後まで静かに聴いていた。 ラストとアンコールは舞台が客席と一体となり、「故郷」を歌ったり、ベルトークさんが客席に降りてきて演奏したり。「世界中の人々が美しい音楽を聴けば、平和な世界が実現するのではないだろうか。」と、おめでたい考えが頭をよぎる。そんな甘い世の中ではないのだけれど、一瞬の夢を見させてもらった気がしている。こんなにステキなコンサートと知っていたら、あの人も、あの人も誘えばよかったなと、悔やまれる。 *あとで「望郷のバラード」をネットで調べた。この曲は、ルーマニアの独立運動で捕らわれの身となった作曲家ボルムベルグが牢屋の中で故郷を思って作った曲だそうだ。ナットク。 コンサートに先立って、里山の風景をつくる会の理事、八木正江さんがあいさつをされた。「里山の風景をつくる会」は7年目、原点は吉野川、吉野川の源流の森の木を使うこと、その木で町に家を建てることは「町に森をつくる」こと、CO2の固定の意味もあり、いい風景をつくる意味もある。 このコンサートは会の設立7周年記念と、里山の建築家、野口建築事務所の20周年記念でもあるそうだ。 |
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